+αな暮らし

某製造メーカーでインハウスのファシリティマネジャーとして建築・不動産に関する仕事をしています。このブログでは建築・不動産・施設管理系の資格挑戦についてと、革製品を始めとした愛すべきプロダクトについてつらつら書いています。

読書レビュー「営繕論」

私は製造業の会社でインハウスのファシリティマネジャーとして自社施設の建築・不動産に関わる仕事をしており、営繕に関する業務にも携わっている。

 

今回は自分の業務繋がりで内田祥士氏の「営繕論」という本を読んでみたので、ご紹介したい。

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まず、そもそも「営繕」という言葉が聞きなれないと思う。

営繕とは、建築物の「営造」と「修繕」をまとめて指す語。具体的には、建築物の新築工事、増改築工事、修繕工事および模様替えなどを意味する。
企業や役所などの組織において、新築、増築、模様替え、修繕などを計画、発注、監理する仕事や業務を一括して総称する場合に用いられている。

営繕という語は中国の春秋戦国時代(紀元前770年 - 紀元前221年)の頃からあったもので、日本では701年に制定された大宝律令において営繕令などと用いられた古い言葉の一つとして知られるが、当時は建物のほかに道路や橋梁などの土木工事や、船などの営造および修繕をも含めた現在よりも広い意味で用いられていた言葉であるとされ、営繕を司る職を造営職、木工寮と称した。

上記はWikipediaからの引用であるが、古くは中国の春秋戦国時代、日本においても大宝律令に書かれているかなり歴史のある用語であることが分かる。

 

本来の意味としては「営造」すなわち建物の建設をも含めた用語になるが、営繕という単語を知っている建設業界の人でも、営繕とは「修繕」のことと理解している人が多いのではないだろうか。

 

本書の中においても営繕は本来の意味から建設が切り離され、修繕や修理の意味で用いられており、それにより「希望の建設・地獄の営繕」という構図が生まれていると書かれている。

 

本書では戦後、日本の建設ラッシュの中で、いかにして建設が希望に満ち溢れ、一方で建設から切り離された営繕がその影に隠れるように貶められてしまったかを様々な視点から論じている。

 

しかし、ひたすら建設を続けてきた結果、戦後の荒廃した都市には現代建築が立ち並び、今後、建て替えへの期待が持てなくなっている今こそ、営繕は地獄などではなく「希望の営繕」となるべき時代が招来したと結んでいる。

 

営繕という仕事の在り方について改めて考えさせられる良い機会になると思うので、営繕を己の仕事にしている方にはぜひ読んでいただきたい一冊である。

 

 

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