【CONTENTS】
はじめに
建設会社に建設工事を発注したいけど、その会社の経営状況はどんな感じだろうか、技術力はどれくらいあるだろうか、等々、気になったことはないだろうか?
今回はそんな建設会社の経営状況などを簡単に調べられる方法について書いていきたい。
早速だが…
その方法とは、経営事項審査(略して経審)の結果を確認することだ。
上記URL内の「経営事項審査結果の公表」→「商号名検索」で会社名を入力することで、簡単にその会社の経営状況や技術力などを見ることができる。
そもそも経営事項審査とは何ぞや?
経営事項審査とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査となる。
公共工事の各発注機関は「競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこと」とされており、当該発注機関は客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付けおよび格付けを行う。このうち客観的事項の審査が経営事項審査であり、経営状況、経営規模、技術力、その他の審査項目(社会性等)について数値化し評価したものとなる。
審査項目である「経営状況の分析」については、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関が行っているので、信頼性の高い審査結果と言えるだろう。
実際の経営事項審査の結果
経営事項審査の結果については、前述のURLから簡単に見ることができると書いたが、初めて見た方にとっては、この結果を見てどう判断したら良いか分からないと思う。
ちなみに結果はこんな感じで一覧表になっている。👇
上の表は参考までに鹿島建設のデータを引っ張ってきたものだが、さすがスーパーゼネコントップ。圧巻の評価結果だ。👏
まず、表の一番大きな面積(2/3くらい)を占めているのが建設工事の種別毎に完成工事高、技術者数などから評価するZ評点と、後述する各評点を合算した総合評定値P評点となる。
(P評点、Z評点を表す部分)
そして、その下段にあるのが、財務的な数値で、売上高や経常利益、キャッシュフロー、総資本などが掲載されている。
(財務数値を表す部分)
そして表の右側半分が経営規模を評価するX2評点や社会性を評価するW評点となる。
(X2評点、W評点を表す部分)
これらの各評点をもとに集計した評価が、総合評定値(P評点)となる。
続いて各評点の内容、見方について解説していく。
各評点の見方
前述の通り、評点は総合評定値であるP評点を始めとして、X、W、Y、Zの5つの評点で点数付けされている。各評点の内容は下記の通りだ。
P評点とは
総合評点となり、X1・X2・Z・W・Yの各評点を足して算出される。点数は上限値2143~下限値-18で表され、点数が高いほど高評価となる。
参考までに計算式を書いておくと、0.25×(X1)+0.15×(X2)+0.2×(Y)+0.25×(Z)+0.15×(W)となる。
X評点とは
経営規模を表し、完成工事高で評価されるX1評点と、自己資本額と2年間の平均利益額で評価されるX2評点で構成される。点数は上限値2309~下限値397(X1)と、上限値2280~下限値454(X2)で表され、点数が高いほど高評価となる。
W評点とは
社会性等を表し、社会保険加入実態等(労働福祉、営業年数、防災協定締結有無、法令遵守、経理、研究開発、建設機械保有、ISO登録、若年技術者育成などの諸状況)により算出される。点数は上限値1966~下限値-1955で表され、点数が高いほど、高評価となる。
Y評点とは
経営状況を表し、決算書(純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上純利益率、売上高経常利益率、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、営業C/F、利益剰余金)を元に算出される。点数は上限値1595~下限値0で表され、点数が高いほど高評価となる。
Z評点とは
技術力を表し、技術職員数と元請完成工事高より算出される。点数は上限値2441~下限値456で表され、点数が高いほど高評価となる。
つまるところ、どの項目を見たら良いのか
私が個人的に参考にしているのは、総合評定値P評点と財務的な経営状況を表すY評点だ。
P評点については各工事種別毎に点数化されているので、発注する工事内容に応じて確認するようにしている。例えば、建築工事を頼むなら建築一式欄の点数を見て、土木工事を頼むなら土木一式欄の点数を見る感じだ。
尚、P評点の点数は上限値2143~下限値-18の間と書いたが、実際には700点くらいが平均点のようで、中小企業のレベルでは1000点を超えるというのはかなり難しく、800点を超えるような状態でかなり優秀なレベルのようなので、点数を見る際は700点より上かどうかを見ると良いかと思う。
続いて経営状況を表すY評点だが、上限値1595~下限値0の間で評価されるが、800点を超えると優秀な点数で、逆に500点を切るような会社だと借金体質で経営状況が厳しそうと判断できるので、その点数を目安にすれば良いだろう。
経営事項審査結果の表はパッと見、難しそうに見えるが、慣れてくると、色々な会社の結果を見るのも色々と勉強になるので、まずは普段お付き合いしている会社の審査結果を見るところから始めてみては如何だろうか。
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