先週の土曜日のこと。意を決して痔(ぢ)の手術をした。
なかなか衝撃的な経験だったので、恥を忍んで記録に残しておきたい。
【CONTENTS】
痔の種類
痔には大きく三つの症状がある。
いぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛)、痔ろうの三つだ。
いぼ痔にはお尻の中にできる内痔核と外側にできる外痔核がある。お尻の中の粘膜は痛みを感じないため、痛みはない。しかし、内痔核についてはひどくなってくると、排便時にお尻の穴から出てきてしまい、最終的には戻らず出っぱなしとなってしまう。そこまで行くと、手術で切除するしかない状態となる。
いぼ痔は男性でも女性でもなりやすい痔の代表格と言えるだろう。
きれ痔については女性がなりやすいと言われており、お尻の内側の粘膜と違い、肛門周辺は知覚神経(痛みを感じる神経)が通っているため、特に排便時に強い痛みを伴う。
痔ろうは、直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができてしまう痔で、ズキズキとした痛みや発熱、膿が出てくるといった症状となる。市販薬では治すことができないため、早めに専門医にかかる必要がある。
ちなみに、日本人は3人に一人が痔主(ぢぬし)と言われている痔大国だ。私もまさか自分が痔になるなど思いもしなかった。
私はどの痔だったか
私は痔の代表格と言える、いぼ痔(内痔核)だった。
内痔核には症状によって四つのステージがある。
- Ⅰ度:排便時にうっ血する。排便時、肛門からの脱出はない
- Ⅱ度:排便時に内痔核が脱出するが、排便後、自然に戻る
- Ⅲ度:排便時に内痔核が脱出し、自然には戻らないため、押し戻す必要がある
- Ⅳ度:痔核が大きく外痔核まで一塊化している。
I度の場合、そもそも痔ということに気づかない人もいるのではないだろうか。
私はどのステージだったかと言うと、最終的にはⅢ度になってしまっていた。
Ⅱ度のときに気付いたのだが、やっぱり痔の診察は恥ずかしく、自分なりに食事を改善したり、市販薬に頼ったりしていたのだが、治ることはなく、それどころか悪化の一途を辿ってしまった。初めて痔を自覚してから5年は経っていたと思う。
そんな中、色々ネット情報を調べていく内に、切除しなくても治せる手術法として、ALTA療法(ジオン注射)というものがあることを知った。
ALTA療法(ジオン注射)とは
これまでは切除手術するしかなかった内痔核に、薬剤(硫酸アルミニウムカリウム水和物やタンニン酸が主成分)を注射し、痔を収縮させ、元の位置に癒着固定させる治療法となる。
切除する手術は入院が必要で、術後の痛みも伴うが、このALTA療法の手術自体は10分〜15分程度で終わり、そのまま日帰りで帰ることができる。翌日からは普通に仕事も可能なため、かなり負担が少ない手術と言えるだろう。
ただし、Ⅲ度までが対象で、Ⅳ度まで進行してしまうと切除するしかないようだ。
以上の情報を得て、Ⅳ度まで進行する前に治そうと決意し、ALTA療法を手掛けている病院を訪れた次第である。
すぐに手術とは行かなかった
しかし、私の希望とは裏腹に、すぐ手術とはいかなかった。
先生から「まずは薬での保存療法で行きましょう」と言われ、三ヶ月間、薬漬けに。。
処方された薬は肛門部の出血や腫れを抑える「ヘモナーゼ」と、便を柔らかくする「マグミット」、それと座薬として、ヘモナーゼと同じような効能の「ヘモレックス軟膏」が処方された。
これらを三ヶ月間続けた結果…
残念ながら、まったく良くはならなかった。
いよいよALTA療法(ジオン注射)施術
薬での保存療法ではまったく効果がなかったことから、いよいよALTA療法での施術を行うこととなった。
手術前日
手術にあたり、前日の食事制限は特になかった。
ただし、夕食後に下剤を服用する必要があるため、下剤を飲んでから就寝した。
手術当日
手術当日の朝食は軽くならOKとのことであった。(お昼は食べちゃダメ)
午前中、昨夜服用した下剤の効果で何回かトイレへ行った。
14時半から予約を入れており、手術当日は車の運転は控えた方が良いとのことだったので、公共交通機関を利用して病院へ向かった。
少し早めに病院に到着し、しばし待機。
そして14時半になり名前を呼ばれる。
まずは手術着に着替えるように言われ、上は肌着1枚、下はパンツまで脱ぎ、その上に手術着を羽織った。手術着はお尻の部分に丸く穴が空いたファッショナブルなものだった。
そして、最初に行われるのは看護士(若い女性)による浣腸という羞恥の儀式。
ベッドに横たわり、膝を抱えるようなポーズをとる。看護士さんが細い管をお尻に挿入し、薬剤を流し込む。ほどなくして猛烈な便意に誘われトイレへ。
時間にして10分くらいだったろうか。トイレにこもり、出すものを出してから手術室へと戻った。
手術室に戻ると看護士2名(ともに若い女性)が待ち構えていた。
ベッドに仰向けに寝転がり、腕に点滴を入れられる。そして横向きに膝を抱えるような姿勢になり、もう片方の腕に血圧計を付けられ手術準備が整った。
先生入室。
先生「ご気分は如何ですか?」
私「大丈夫です。よろしくお願いします」
先生「肛門鏡を入れる必要があるため、まずはお尻に麻酔注射を3本打ちますね。少し痛いですが我慢してください」
1本目ブス〜ッ💉 (めちゃくちゃ痛ぇ!)
2本目ブス〜ッ💉 (めちゃくちゃ痛ぇ!)
3本目ブス〜ッ💉 (めちゃくちゃ痛ぇ!)
麻酔から間髪おかず施術が始まった。
手術着の穴が小さかったのか、手術着を力まかせに破る先生。我が臀部はほぼ丸出し状態となった。(精神的に死んだ…)
肛門鏡を挿入(自分では見れないので想像です)し、ジオン注射が始まった。
内痔核がある粘膜部分は痛みがないため、注射による痛みはないが、注射を1本打つたび、先生が指で患部を強くマッサージし、それが何とも言えない苦しさがあった。しかも結構長い。注射1本当たり30秒くらいのマッサージだったかも知れないが、ものすごく辛いため、かなり長く感じた。
そして2本、3本と内痔核周辺に注射を打っていってはマッサージが繰り返された。
最終的に7本から10本くらい打たれたような気がする。施術自体は10分くらいで終わると思っていたが、20分くらいかかっていたのではないだろうか。
先生「終わりました。お疲れ様でした」
最後の注射&マッサージが終わった。
手術後、30分ほど安静にしておく必要があるとのことで、ベッドに寝そべったまま、隣の部屋に移動し、カーテンで仕切られた場所で休憩することとなった。
施術の苦しみから解放され、ほどなくして眠りについてしまった。
30分後、看護士の方に起こされ、着替えて待合室へと戻った。
その後、診察。
先生からは手術が順調に終わった旨と、今後の説明を受けた。
お尻に違和感があったが、「明日には無くなっているから気にしないでください」とのことであった。
今後の経過観察として、翌日、1週間後、2週間後、4週間後の計4回、診察を受けることとなる。
お会計は手術代として約2万円であった。
手術後の薬として、これまで続けていたヘモナーゼ」「マグミット」「ヘモレックス軟膏」に加え、熱止め&痛み止めとして「カロナール錠」、殺菌&感染症を治す薬として「ケフラールカプセル」という薬が3日分処方された。
手術翌日
翌日、改めて経過観察のため病院へ。
診察の結果は1日目としては順調とのことであった。
今後、1週間後、2週間後、4週間後の経過観察を続けていく中で、完治してくれれば良いのだが… ALTA療法(ジオン注射)はまれに再発することがあるらしいので油断はできない。
最後に
正直、ALTA療法(ジオン注射)を甘く見ていた。
想像していたよりかなりキツかった。(特に麻酔注射とジオン注射後のマッサージ)
とは言え、日帰りで帰れること、手術後の痛みがないことを考えれば、切除手術よりははるかに楽だろう。
手術当日は排便がなかったが、翌日トイレに行った際、内痔核の脱出はなくなっていた。ビバ!
痔の診察は確かに恥ずかしいが、今回のように手術となると、最終的にはそちらの方が恥ずかしい(&苦しい)思いをするので、痔主の方々には早めの診察をおすすめしたい。
特にいぼ痔についてはⅡ度くらいまでであれば、薬での保存療法で良くなる可能性もあるらしいので、ぜひ早めの診察を!
《2024.5.11追記》
痔の手術をしてから一ヶ月以上経ったので、その後の経過を書いておきたい。
1週間後、2週間後、4週間後の診察まで終わったのだが、完治まではいっていない。
痔の脱出は無くなったので、少なくともI度くらいまで改善はされていると思われるし、先生からも痔は確実に小さくなりましたね、と言われた。
しかし問題があり、私は元々便秘気質なため、手術後もなかなかスムーズに便が出ない。先生からは絶対に力まないで下さいと言われ、便を柔らかくするマグミット錠を貰い続けているが、それも効かなくなってきた。
そのため、力まざるを得ない状況にあり、出てくる便はやはり硬めな状態だ。しかも手術後、必ず出血を伴うようになってしまった。一ヶ月経った今でも排便時にそれなりの量の下血があり、4週間後の診察時には、マグミットに変わる新たな便を柔らかくする薬としてモビコールという薬が処方された。さらに痔から出血してしまうため、注入軟膏も復活となり、これらの薬を続け、また三週間後に経過観察することとなった。
なかなか終わりが見えない状況だ。
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