所有する革靴の紹介シリーズ、今回は初登場ブランドJOSEPH CHEANEY ジョセフチーニーからプレーントウダービーの「ALDERTON アルダートン」を紹介したい。
さて、まずは靴を紹介する前にジョセフチーニーというブランドについて語る必要がある。海外の革靴ブランドは色々な歴史を持っているが、このジョセフチーニーもなかなか波瀾万丈な歴史を辿っている。
JOSEPH CHEANEY ジョセフチーニー
創業は1886年。イギリスのノーサンプトンのシューメーカーB.Rileyで工場長をしていたジョセフ チーニー氏が創業したのが始まりとなる。
その後、1890年に長男のアーサ ーチーニー氏が、1903年に次男のハロルド チーニー氏が入社し、社名をジョセフチーニーからジョセフチーニー&サンズに変更する。
そして第2次世界大戦後、創業者の孫であるディック チーニー氏が海外への供給を展開し、シューメーカーとしての確固たる地位を築いていった。
1966年には、英国で最も栄誉ある賞の一つであるQueen’s Award賞を輸出部門で受賞するも、この直後に「チャーチ」に買収される。そのため、これより後、ジョセフチーニーはチャーチのセカンドブランド的な扱いで認知されていくことになる。
しかし1997年にイタリアミラノの総合ブランド「PRADA プラダ」により、今度は親会社のチャーチが買収され、必然的にチーニーもプラダ傘下となる。
その後、2009年にチャーチの元取締役だったジョナサン チャーチ氏と従兄弟のウィリアム チャーチ氏がプラダからチーニーを買い取ることで、チーニーをプラダから独立させる。チャーチ創業家一族の2名がトップに加わることで約50年ぶりに独立を果たし、現在ではPRADA傘下のチャーチより、本来のチャーチ一族が経営するジョセフチーニーの方が質実剛健なチャーチらしさを感じられる靴作りをしているとまで言われている。
今回紹介する靴
プレーントウダービーのアルダートンというモデルになる。
この写真を見てピンと来た方もいらっしゃるかも知れないが、英国の老舗タンナー「クレイトン社」のコードバンを使用した「ブリティッシュコードバンコレクション」になる。定価は142,560円税込で、他の英国靴に比べると良心的な価格と言われるチーニーだが、この靴は良心的ではない。
クレイトン社で作成されているコードバンは原皮を鞣す工程から全て手作業で行われており、数ヶ月という長い時間をかけて鞣されることで、耐久性と柔軟性に優れた仕上がりになっている。これだけ手間暇かけたコードバンを使用しているということであれば、多少値段が高いのは致し方ないだろう。
ソールはレザーソールのオープンチャネル。Made in EnglandとGoodyear weltedと刻印されている。爪先はヴィンテージスチールで補強した。
アッパーからインソックシートまでバーガンディーのカラーリングで統一されている。バーガンディに金色のロゴ。カッコいい!
そして使用されているラスト(木型)はチーニーの代表ラストの一つ「1886 LAST」になる。創業年を冠にしたこのラストは、英国の伝統的な丸みのあるラウンドトゥと、ややゆとりがあるボールジョイントが特徴となる。日本人の足に馴染みやすいラストと言えるだろう。
そして、この靴用にチーニーのシューツリーも用意した。
デザインが外羽根式のダービーシューズで、ポテッとしたデザインとも相まってさすがにスーツでは履き辛いが、クールビズでのジャケパンスタイルくらいだったら問題ないだろう。
写真のように、基本、カジュアルな服装に合わせることになりそうだ。