突然でだがイギリスの革靴ブランド Church's チャーチをご存知だろうか?
日本では1965年から大塚製靴が輸入販売元となって国内展開していたので、日本での歴史は長いと言える。革靴好きであれば知らない人はいないだろう。
全国のデパートやセレクトショップで販売されており、現在の輸入販売元である渡辺産業の自社店舗ブリティッシュメイドでも当然取り扱っている。
さて、そんなチャーチの話をなぜ切り出したかと言うと、今回紹介する革靴がチャーチの「CHATSWORTH チャッツワース」だからだ。
チャーチというブランドについてもう少し話をしておく。
Church's チャーチ
チャーチの礎を築いたのは1675年生まれのストーン・チャーチ氏だが、創業は1873年まで待たねばならない。
ストーン・チャーチ氏の技術を受け継いだ曾孫のトーマスが妻のエリーザ、息子のアルフレッド、ウィリアムと共にノーザンプトンのメープル・ストリートに開いた小さな工房がチャーチの始まりである。
当時、靴は左右の区別がなく真っ直ぐだったものをチャーチは初めて左右のある靴を製造。そしてサイズ展開もハーフサイズを取り入れるなど、革新的な発明によりチャーチは1881年にロンドンで行われた靴の展覧会で金賞を受賞。これをきっかけとして、数年のうちにチャーチは高級シューズの代名詞的な企業へと成長した。
1930年代に入るとニューヨークに海外店舗を出店。比較的早くから世界市場を見据えて事業を展開するも、その後、経営難に陥り2000年にイタリアのプラダに買収され現在に至っている。
これは靴好きの間では常識だが、プラダに買収される前のモデルは旧チャーチ、またはオールドチャーチと呼ばれている。
オールドチャーチと今のチャーチを区別する分かりやすい方法として、ブランド名が記されているインソックの表記がLONDON NEWYORK PARISの3都市名が記されているものがオールドチャーチ。さらに古いものは2都市名というものもある。この3都市に加えてMILANの都市名があるのがプラダ買収後の新しいチャーチだ。最近だとさらにTOKYOも加わった5都市名表記となっている。
さて、今回ご紹介する「チャッツワース」はどのタイプだろうか?
そもそも都市名が入っていない。これでは前述の新旧の区別が付かないが、実はこのチャッツワースは現行のチャーチになる。
チャーチの中でも最高級ラインに属するアイテムで、その関係かインソックのロゴも通常とは違うようだ。
見ての通り、チャーチとは思えないスタイリッシュなデザインだ。木型(ラスト)は#137と呼ばれる最高級ライン専用ラストになる。
チャッツワース以外に、137ラストを使用するモデルとして、キャップトゥの「Lamport ランポート」、ダブルモンクストラップの「Burghley バーリー」がある。
これらのモデルは国内では販売されていないようだが、時々オークションにポロッと出ることがある。ちなみに私のチャッツワースもオークションで永福町にあるstudio.CBRさんから購入した。
元々の定価が15万円近い高級モデルを4万円台でゲットしたのでお買い得と言えるだろう。状態も非常に良かった。ぜひ、ランポートとバーリーも手に入れて137コレクションをコンプリートしたいね。
アイレットは6つ。多い。シューレースは平紐だが、靴の雰囲気から丸紐の方が似合いそうだ。
タンの裏に色々情報が記載されているあたりはガジアーノ&ガーリングっぽい。
ソールはヒドゥンチャネルではなく、オープンチャネルとなる。でも一応半カラス仕上げ。ソール保護のため、ビブラム製のラバーを張ってある。
そして変なこだわりが…かかとのラバーにチャーチというブランド名が書かれている。まず真っ先に削れて消えてしまうところではある。
ライニングの丸窓はシンプルだ。60Fというサイズと、137のラストNo.のみ。
なかなかスタイリッシュな趣きではないだろうか。