先日、ワイフが図書館で本を借りてきた。その本は英字新聞で包まれ「感動」というシールのみが貼られていて、何の本が入っているか分からない、いわゆるシークレット本だった。
英字新聞の中から出てきたのは…
「ARRIVAL アライバル/著者ショーン・タン/出版 河出書房新社」という本だった。
どんな本なのかパラパラめくってみると、なんとイラストのみで描かれた絵本的な本で、驚くべきことに文字は一切無し。
「なんじゃ、こりゃ⁉︎」と最初は驚いたものの、少し読んだだけでパステル画のような緻密なイラストと独特な世界観にすぐ引き込まれてしまった。
せっかくなので、内容について軽くご紹介したい。
物語は全6章からなり、第1章は災厄により、ある男性が妻と娘を故郷に置いて一人新天地へ逃れるところから始まる。
この災厄が戦争なのか自然災害なのかは分からない。イラストでは怪物の影が描かれているので、比喩ではなく本当に怪物に襲われているのかも知れない。なにぶん文字が一切無いので、全て自分で想像するしかない。
故郷を追われた男性が船に乗り込み、たどり着いたのは見知らぬ異国の地。言葉も通じない地で悪戦苦闘をしながらも何とか暮らしていく。そして… っと、これより先は実際に読んでいただいた方が良いだろう。
こちらの本、初版は2011年4月30日と言うことで、3.11の直後に出版されている。主人公の男性の境遇が、津波や原発事故で故郷を追われた被災者の方々の境遇と重なり、涙した方も多いのではないだろうか。。
構想を練り、イラストを描き続け、4年の歳月をかけて完成したグラフィックノベルの超大作。
普通の本とは一味違う大人の絵本となっている。
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