+αな暮らし

メーカーでインハウスのファシリティマネジャーとして建築・不動産に関する仕事をしています。このブログでは建築・不動産・施設管理系の資格挑戦についてと、革製品を始めとした愛すべきプロダクトについて書いています。

2024年(令和6年)一級建築士 設計製図試験 勉強記録Part.1(長期通学講座 日建学院 パーフェクト本科:3月〜7月編)

今年の結果も非常に厳しいものとなりそうだが、とりあえず今年一年間の勉強記録を残しておくことにする。

 

【CONTENTS】

 

一昨年、昨年の振り返り

一昨年、昨年と2年連続で一級建築士 設計製図試験にランクⅣ(失格要件、重大な不適合要件)で撃沈した。

 

一昨年、昨年は勉強の費用を少しでも節約するため、通信添削講座を選択したわけだが、かすりもしなかった。

(上記リンクは一昨年、昨年の勉強記録です)

 

一次試験である学科試験合格後、設計製図試験は3回まで受けられるわけだが、既に2回落ちてしまったので、今年が3回目のカド番となる。

 

今年の勉強方法

一昨年、昨年の反省から通信添削講座では合格は難しいと判断し、今年は資格学校に通うことにした。

一級建築士の資格学校と言えば総合資格学院と日建学院、それにだいぶ引き離されて追随するのがTACになるが、私は日建学院の長期講座(パーフェクト本科)を受講することにした。

(上記リンクはどこを受講するか検討したときの記事です)

 

日建学院 設計製図パーフェクト本科

日建学院の設計製図パーフェクト本科は3月に開講し、本試験がある10月までの約8ヶ月間の通学講座となる。

今年の本試験課題が発表される7月末まではSTEP1として、受験準備〜課題検証講義〜攻略理論講義の三つの講義で構成されている。

講義日数は15日で、おおよそ隔週で日曜日に開催され、時々平日の夜間も入っている。

ここまでを便宜上、前半戦として今回の記事で勉強記録を残しておく。

 

ちなみに、本試験課題が発表されたあとの8月から10月に行われるSTEP2と STEP3の講義は毎週末の日曜日に行われるが、そちらは後半戦として次回の記事で書くことにする。

 

受験準備

3月に開講し、最初の2回の講義は受験準備として、オリエンテーションや課題文の読み取り方、エスキスの進め方、記述のポイントなどを学んだ。

そして、即、練習課題の取り組みとなった。

 

練習課題「子ども、子育て支援センター」

練習課題だから易しいということはなく、本試験並みに難しかった。いきなりこのレベルの課題では初学者は心が折れてしまうのではないだろうか… 講師も「出来ない人はまずはトレースで良い」と言っていた。

さすがに私はカド番マンなので、トレースではなく、ちゃんと取り組むことにした。

f:id:k-est:20240506095417j:imageフリーハンドで作図

講師による評価は印象Aであったが、防火設備の◯特が一つ漏れていたので、本試験だったらランクⅣだろう。この一つのミスで一発不合格になるのが製図試験の怖いところだ。

 

前半戦の添削はあまり細かいところまでは見てくれず、何となく全体の図面の綺麗さや書き込み量による「印象」で評価されるようだ。講義の中で添削を行い返却しないといけないため、時間の都合上こういう添削方法を取っているのかも知れない。後半戦からは次回の講義で返却されるようなので、細かいところまでチェックしてくれるとのことであった。

 

課題検証講義

4月から5月後半までは課題検証講義として、実際の本試験の過去問課題とそれをベースに日建が作成したオリジナル課題に取り組むことになる。

進め方としては、日曜日の講義の中でエスキス〜記述まで取り組んで、作図は宿題として自宅で仕上げ、翌講義に提出するというものだ。

宿題でもう一課題出されるので、翌講義に2課題分の作図を提出する必要がある。

 

実習課題1A「集合住宅」

実習課題1Aは令和3年の本試験課題となる「集合住宅」だった。今年の本試験では絶対出ないであろう課題なので取り組む必要があるのか疑問だが、過去問に取り組むことで、本試験課題のレベルを覚えさせ、かつ色々な建築物を設計させることで応用力を付けさせようという考え方だろう。

f:id:k-est:20240506100701j:imageフリーハンドで作図

集合住宅の課題に取り組んだのは初めてだったので勝手がわからず苦戦した。

エスキス160分、記述80分、作図210分と全てにおいて制限時間をオーバーした。

講師による評価は印象A。しかしながら住戸の採光がNGなため、本試験であればランクⅣだろう。

 

実習課題1B「集合住宅」

1Aは過去問だが、1Bは同じお題で日建のオリジナル課題となる。

f:id:k-est:20240506101217j:imageフリーハンドで作図

エスキス140分、記述70分、作図234分。全てタイムオーバー。

講師の評価は印象A。しかし1A同様、住戸の採光が一部NGなので失格要件となる。1Aと同じミスだが、宿題として1Aと1Bを同時に提出しているため、同じミスを犯してしまっている。

 

実習課題2A「高齢者介護施設」

実習課題2Aは令和2年の本試験課題「高齢者介護施設」となる。

f:id:k-est:20240506101814j:imageフリーハンドで作図

エスキス180分、記述70分、作図250分。集合住宅もそうだが、高齢者介護施設は部屋数が多く、エスキス、作図共に大変だった。しかも毎回違うテーマでの課題取り組みのため、ボヤッとした知識でのエスキスになり、いまいちな出来栄えとなってしまうためモチベーションが上がらない。

それでも講師の評価は印象A。しかし要求されていた廊下の幅員1.8m以上が取れていない箇所があるため、実際には大きな減点になるだろう。

 

実習課題2B「高齢者介護施設」

高齢者介護施設の日建オリジナル課題。

f:id:k-est:20240506102431j:image三角定規による作図

エスキス125分、記述65分、作図240分。

講師の評価は印象Aだが、色々なミスをしている。自己採点では2方向避難の選択ミスと、階段の段数ミスが発覚している。階段については、階高3.5mに対し通常の4m階高として階段を書いてしまったので、段数が多すぎる状態となっている。まあ、安全側と考えれば小さい減点かも知れないが…

 

実習課題3A「美術館の分館」

続いての実習課題は令和元年の本試験課題「美術館の分館」となる。

f:id:k-est:20240608151441j:imageフリーハンドで作図

エスキス150分、記述62分、作図190分。

多少エスキスに時間がかかっているが、記述と作図は及第点。それほど大きなミスや減点もないと思われる。講師の印象評価はA。

 

実習課題3B「美術館の分館」

美術館分館の日課オリジナル課題。

f:id:k-est:20240608145637j:imageフリーハンドで作図

エスキス140分、記述70分、作図200分。

講師の印象評価はA。隣地の本館からの歩行者アプローチと駐車場のアプローチが交差しているため、講師からの赤ペンが入ってしまった。

しかし、日建の見本解答を見ると、私のプラン同様、本館からの歩行者アプローチと駐車場のアプローチが交差しているプランであった。

 

実習課題4A「健康づくりのためのスポーツ施設」

続いての実習課題は平成30年の本試験課題「健康づくりのためのスポーツ施設」だ。

f:id:k-est:20240608150225j:imageフリーハンドで作図

エスキス150分、記述70分、作図210分。

講師の印象評価はAだが、温水プール室という大空間の上に部分的に部屋を載せてしまったため、PC梁の交差という構造的な無理が生じている。エスキースや平面図の段階では気づかず、断面図を書きながらうまく構造が収まらないことに気がついた。本試験だったらランクⅣないしⅢかな。

 

攻略理論講義

課題検証講義は4Aがラストとなり、6月からSTEP1のフェーズ2となる攻略理論講義が始まった。とは言え、講義の進め方はこれまでとほぼ同じで、講義の中でエスキースと記述を行い、作図は宿題、A課題同様のテーマでB課題も宿題として出される進め方となる。

 

基本課題1A「温水プールのあるスポーツ施設」

攻略理論講義の最初の課題はスポーツ施設。課題検証講義の実習課題4Aからの繋がりとなる。

f:id:k-est:20240610203719j:imageフリーハンドで作図

駐車場台数が多く、ピロティ駐車場の採用が必要な課題であった。

エスキス130分、記述70分、作図240分。全体的にタイムオーバーしているが、致命的なミスはしていないと思う。講師の印象評価はA。

 

基本課題1B「温水プールのあるスポーツ施設」

1Aと同じくスポーツ施設の課題。敷地が縦型で間口が狭くプランし辛い課題であった。

大空間の温水プールを2階に配置したが、そのせいで3階が332m2しかないバランスの悪いプランとなってしまった。

f:id:k-est:20240610204315j:imageフリーハンドで作図

エスキス175分、作図210分(記述は無し)、エスキスに苦しんだ。

温水プールの面積が指定に対し±10%以上大きかったのと、1階のカフェが無窓であったり、前述の通り3階の床面積が狭過ぎたりと、温水プール室の設置階を間違えたことによる弊害が色々生じてしまった課題となった。

それでも講師の印象評価はA。まあ、あくまで図面の印象に過ぎないのだが… 本試験だったとしたら一発不合格のランクⅣを免れたとしても、空間構成が駄目なので、ランクⅢが妥当だろう。

 

基本課題2A「宿泊施設のある研修所」

続いての基本課題は「宿泊施設のある研修所」

公共建築タイプと基準階タイプのハイブリッドのような建物なので、本試験課題が発表されるまでの練習課題として適しているテーマだと思う。

f:id:k-est:20240625135912j:image三角定規で作図

エスキス125分、記述60分、作図220分。講師の印象評価はAだが、なんと屋外テラスに柱を書いて(消し忘れて)しまった。本試験だったら1、2階の図面不整合によるランクⅣかな。こんな凡ミスをするとは…

 

基本課題2B「宿泊施設のある研修所」

続いても宿泊施設のある研修所となるが、この2Bは難しかった。特に3階の宿泊部門が収まらずにエスキスで大苦戦した。

f:id:k-est:20240625140332j:imageフリーハンドで作図

エスキス180分、作図205分(記述はなし)、前述の通りエスキスに苦労し、結局、宿泊部門の一部を2階に下ろした。

講師の印象評価はAだが、なんと隣地からの延焼ラインを1本書き忘れていた。当然、書き忘れた延焼ラインにかかる防火設備も書き忘れているので、本試験ならランクⅣの失格だろう。前回(2A課題)の柱の消し忘れによる1、2階不整合と言い、致命的なミスを頻発する状況に不安になる… それと2Bについては、作図が終わってからよく考えてみたところ、吹抜けを真ん中あたりに持っていけば、もっと上手く収まることに気が付いた。どうも吹抜けを外壁に面した位置に持っていく癖があるので、もっと柔軟に考える必要がある。

ちなみに、日建の見本解答例はセンターコアとすることで、外周部に客室を全て配置するプランであった。

 

基本課題3A「リゾートホテル」

続いての課題は基準階タイプとなる「リゾートホテル」

1/400エスキスが終わってから面積を確認したところ、指定面積を著しくオーバーしていた。

1/400に入る前にチビコマ段階で面積計算をし忘れたことによるミス。本番でやったらタイムアウトだった。

f:id:k-est:20240708203921j:imageフリーハンドで作図

最終的に要した時間はエスキス210分、記述70分、作図200分。1/400エスキスで面積オーバーしたため、最終的には3-5階の基準階を1グリッド減らしたL型とし、さらに吹抜けも設けることで、なんとか指定面積内に収めることができた。

講師の印象評価はB+。なんと3階基準階に下階の屋根を書き忘れていた。下階の屋根の書き忘れは不整合による失格要件のため、本番だったら一撃でランクⅣだった。毎度毎度怖すぎる…

 

基本課題3B「リゾートホテル」

3Aに続きリゾートホテルの課題。

外構を収めるのが難しい課題だった。

f:id:k-est:20240708204639j:imageフリーハンドで作図

エスキス180分、記述はなし、作図200分。

まず、歩道の切り開きが3ヶ所はさすがに多過ぎた。それと致命的なのが1階にトイレ描き忘れたこと。本番だったら大減点の可能性大。

講師の図面印象はAだが、よくてランクⅢといったところか…

前半戦も終わりに近付いているが、この基本課題3Aと3 Bでは、それぞれ下階の屋根とトイレを描き忘れるという致命的なミスを犯している。気を引き締めないと。

 

基本課題4A「子育て支援施設のあるコミュニティセンター」(模擬試験)

基本課題4Aは7月7日に実施された模擬試験となる。

10時15分から16時45分までの6時間半、本番さながらエスキス〜記述&作図まで通しで行われた。

f:id:k-est:20240710084445j:imageエスキス

北側の歩道付き道路が主アプローチとなるが、外構を収めるのに意外と苦戦した。特に駐輪場30台がキツかった。

それでもエスキスを2時間5分で終え、記述40分、作図2時間45分、チェック&補足記入20分で完了し、30分ほど時間に余裕があったので時間配分だけ見ると理想的と言えるだろう。

 

7月7日は提出だけ行い、返却は次回講義(7月21日)の中で行われた。

f:id:k-est:20240722082705j:image返却された図面

f:id:k-est:20240722082733j:image点数

採点結果は43/60点、記述31/40点、合計74/100点。微妙な点数。ランクⅣとなる致命的なミスはしていないが、細かい減点を積み重ねてしまった。

(上記リンクは模試の結果を書いたときの記事です)

 

基本課題4B「子育て支援施設のあるコミュニティセンター」

4Aと同じくコミュニティセンターの課題となる。

f:id:k-est:20240804191127j:image

エスキス170分、作図220分(記述はなし)

エスキス、作図共にかなり時間を要した。吹抜けの30m2以上という指定をエスキスの段階で見逃しており(問題文にマーキングはしていたのに失念)18m2しか確保しておらず、そのことに作図の中盤で気付き慌てて修正。吹抜け面積を広げたことにより、2階廊下がクランク廊下になってしまった。さらに風除室上部は吹抜け面積に含まれないという模試のときの講師の話を思い出し、風除室を外に出すことで吹抜け面積を確保する荒技に出た。これで何とか歪ながらプランとしてはまとめることが出来たが、作図段階でのプラン修正は厳しいものがある。

講師の印象評価はAだが、ランクⅢあたりが妥当か…

 

基本課題5A「こども園」

続いての課題は「こども園」

これまで一級建築士 設計製図試験で「こども園」の課題は出題されたことはないが、似た施設として「保育所」や「子育て支援施設」などが出題されている。

今回の課題はエントランスホールが2つあり、エスキスをまとめるのが難しい課題であった。

f:id:k-est:20240801202756j:imageフリーハンドで作図

エスキス180分、記述80分、作図280分、合計なんと550分もかかってしまった。試験時間390分に対し、とんでもなく時間超過した。課題自体が難しいのもあったが、集中力がなかった。漫然とダラダラ取り組んでしまった感が否めない。

また、最後の最後で北側斜線が当たることに気付き、外構のヘリアキを雲マークによる書き入れ寸法で修正した。北側斜線についてはエスキスの初期段階で確認していたが、柱の出を考慮するのを忘れていた。昨年の本試験では北側斜線に泣いたが、成長していない…

 

そして今回の基本課題5Aを持ってパーフェクト本科の前半戦は終了となった。8月から始まる後半戦は今年の本試験課題に特化した学習となる。

 

令和6年(2024年)本試験課題発表

7月26日(金)に今年の本試験課題が発表された。

今年の課題は…

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大学! なんと製図試験初出。カド番で初出とかホントやめて欲しい。

大学で考えられるのはキャンパスの一角に増築するパターンと駅近のサテライト方式のようだ。3階建てから7階建てまで考えられ、幅広い学習が必要になる。

 

日建学院 製図試験ガイダンス

7月30日(火)19:00から製図試験ガイダンスが開催された。てっきり今年の本試験課題である「大学」はこういう施設でこういった特徴がある…的なものを期待していたのだが、内容は製図試験の心構えや製図試験とは何ぞやということに主眼を置いたガイダンスであった。要は今年の学科を突破する見込みが高いストレート合格を目指す人向けのガイダンスであった。

これならわざわざ聞きにこなくても良かったな。実際、前半戦から参加しているパーフェクト本科生は私を入れても4人しかガイダンスを聞きに来ていなかった。

 

前半戦の勉強時間

3月に開講し7月末までの勉強記録を書いてきた。この5ヶ月間の勉強時間は約300時間となった。

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記録では296時間だが、記録していない隙間時間の学習などもあったので、300時間は超えているだろう。解いた課題数は練習課題や模擬試験含め17課題となった。

 

さて、いよいよ本試験に向けた後半戦の講義となるが、長くなったので次の記事で書くことにする。

 

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