+αな暮らし

インハウスのファシリティマネジャーの実務に関する事と、実務に関係した建築・不動産・施設管理系の資格挑戦記録について書いています。また、趣味である読書記録、革製品を始めとした愛すべきプロダクトに関する記事などもつらつら書いています。

【実務】自力で「簡単」に「それなりに説得力のある」不動産の価格を出す方法

どうもESTです。

私のように自社施設の不動産管理を担当していると、経営層から施設の評価額を求められることがあります。それこそ「●●●の不動産を売ったらいくらになるのか調べてくれ」といった感じですね。

そこが更地の場合は、土地だけの評価額を算出すれば良いのですが、建物がある場合は、土地と建物の両方を評価する必要があります。

正確な評価額を算出する場合は、不動産鑑定士に鑑定評価を頼むことになりますが、当然ながら鑑定料がかかります。私が普段お付き合いさせていただいている鑑定士さんの場合、評価額から報酬額を算出するため1件あたり100万円超す場合もありますが、小さな物件であれば20万円くらいからやっていただけるでしょう。

しかし、不動産鑑定士などの外部サービスを使わず自力で評価額を算出せねばならない場合があります。すぐ評価額を出さないといけない(時間がない)お金をかけてまでの精度を求められていない外部に情報を出せない、といった場合です。

 

前置きが長くなりましたが、今回は自力で不動産の評価額を算出する方法をご紹介いたします。

 

【CONTENTS】

 

土地の評価額 算出方法

まず土地からですが、土地の評価額を素人が簡単に算出する方法として、次の三つがあります。

一つが公示価格から算出する方法、次に相続税評価額(路線価)から算出する方法、そして固定資産税評価額から算出する方法です。

 

公示価格から算出

公示価格とは国交省の土地鑑定委員会により、地域ごとに標準地が設定され、その標準地を不動産鑑定士が鑑定して算出した土地の平米単価になります。ズバリ、土地の金額の基本となり国交省のサイトから検索することが出来ます。

https://www.land.mlit.go.jp/webland/

 

しかし、この公示価格は土地鑑定委員会が設定した標準地と、査定したい物件との状況が乖離していて、あまり参考にならない場合があります。例えば査定したい物件の用途が標準地と違う、土地の接道状況が違う、面積が全然違うなどです。なので公示価格から算出する方法はあまりおすすめしません。

 

相続税評価額(路線価)から算出

路線価は相続税や贈与税の算定根拠に使われる評価額で国税庁のサイトから検索することが出来ます。

 

この路線価から土地の評価額を算出する方法が一般的に感じるかも知れませんが、実はこの路線価での算出も土地の状況により、結構面倒くさい時があります。整形地で一つの道路にしか接道していなければ、接道している道路の路線価に土地の面積を掛ければ良いですが、これが複数の道路に接している、土地が不整形であるなどの場合、計算が面倒になります。また、路線価が設定されていない道路もあります。そのため一番手っ取り早いのは次にご紹介する固定資産税評価額から求める方法です。

 

固定資産税評価額から算出

マイホームを所有している人なら分かると思いますが、固定資産税とは、毎年1月1日現在で各市町村から所有権を登記している人に対して課税される税金です。大体4月頃に納税通知書が送られてきます。実はこの固定資産税評価額がそのまま不動産の評価に使えるのです。

 

あくまでも目安になりますが、固定資産税評価額は公示価格の70%程度の金額と言われていますので、固定資産税評価額を0.7割戻してやれば公示価格相当になる計算です。例に出すと、固定資産税評価額が1億円だったとします(実際に1億円ピッタリなどということはあり得ませんが)。これを0.7で割戻すので、1億円/0.7=1億4千3百万円が公示価格相当の評価額となるわけです。

 

ちなみに、相続税評価額は公示価格の80%程度の金額なので、こちらも0.8割戻してあげれば公示価格相当になります。

 

公示価格や相続税評価額は前述の通り、査定したい物件によっては条件が合わなかったり計算が面倒だったりしますので、企業の不動産管理担当者が即興で評価額を算出しようと思ったら、固定資産税評価額を0.7割戻すのが一番手っ取り早いと思います。

 

固定資産税評価額は年に一回、各市町村から納税通知書が送られてきますので、それを見れば評価額が分かります。会社であれば経理や財務といった部署が処理されると思いますので、担当者に話をすればすぐ直近のコピーをいただけるでしょう。

 

建物の評価額 算出方法

評価する物件が更地であれば、土地の評価をして終わりですが、建物付きだった場合、建物の評価額も算出して土地の評価額と合算せねばなりません。

 

さて、建物の評価額はどう算出したら良いのか…

手っ取り早いのは固定資産台帳上の帳簿価格(簿価)= 評価額としてしまう方法です。固定資産台帳は財務・経理で作成していますので、財務・経理担当者からデータを貰うことが出来ると思います。帳簿価格は法定耐用年数によって減価償却された現時点での価格なので、帳簿価格を評価額とする考え方になるのですが、注意点が一つあります。それは古い建物の場合、安く評価されてしまうということ。建てて数年程度の建物なら帳簿価格 = 評価額でもさほど問題ありませんが、これが10年前、20年前となってくると話が違います。何故なら今と昔で建築単価が違う(昔の方が安い)から。固定資産台帳に記載されている取得価格は建てた時の金額(昔の安い建築費)で、そこから減価償却されて残っている残存価格が帳簿価格になるので、古い建物の帳簿価格を評価額とした場合、必然的に安い金額になってしまいます

 

それではどうしたら良いか…

古い建物で帳簿価格を評価額として使えない場合、少し面倒ですが、再取得価格から求めることになります。

 

具体的な計算方法は下記の通りです。

再建築単価×延床面積×(残耐用年数÷耐用年数)

要は評価する建物を今建てたらいくらになるか計算し、それを経過年数に応じて償却させることで、現在価値の残価を計算しようとするものです。

 

さて、ここで必要となる再建築単価ですが、いくらに設定したら良いでしょうか?

用途と構造別に調べてみたところ下記の単価になりました。

再建築単価
■事務所・S造 :300,000円/㎡
■工 場・S造 :200,000円/㎡
■倉 庫・S造 :120,000円/㎡
■倉 庫・CB造:150,000円/㎡

これは国交省の平成30年度統計より弾いた平均単価になります。色々なサイトで調べてみても似たような単価が出てきますので、概ね間違えていないと思います。

 

そして耐用年数に関しては下記を参考にしていただければと思います。

法定耐用年数
■事務所・S造:38年
■工場/倉庫・S造:31年
■事務所・軽S造:22年
■工場/倉庫・軽S造:17年
■事務所・RC造:50年
■工場/倉庫・RC造:38年
■事務所・CB造:41年
■工場/倉庫・CB造:34年
■設備:15年

これは国税庁サイトの法定耐用年数を参考にしています。

 

感の良い方はお気付きだと思いますが、前述の計算式は再取得価格(再建築単価×延床面積)に残価率(残耐用年数÷耐用年数)を掛けていますので、評価する建物が耐用年数より古い場合はその時点で建物の評価額は0になりますので計算する必要はありません。建物の価値は0です。

 

これらの情報を元に、サンプルで計算してみましょう。

仮に鉄骨造(S造)の事務所で延床面積が2,000平米、建築年が2000年の建物を評価するとします。これに前述の計算式「再建築単価×延床面積×(残耐用年数÷耐用年数)」を当てはめると…

再建築単価300,000円×延床面積2,000平米×(残耐用年数19年÷法定耐用年数38年)
※残耐用年数…法定耐用年数38年-(評価年2019年−建築年2000年) = 19年 となります。

結果は、再取得価格6億円となり、そこからちょうど法定耐用年数の半分である19年が償却されるので、6億円×0.5 = 3億円が評価額となります。さらに細かく評価しようとした場合、建物に付帯する設備率に付いても考慮することになります。何故なら設備の耐用年数は建物に比べて15年と短いためです。

あくまでも概算ですが、倉庫のように設備がほとんど無い場合、建物割合を9割、設備割合を1割程度で計算したり、事務所の場合は設備割合が増えますので、建物7割、設備3割で計算したりしますが、この設備割合まで考慮すると面倒なので今回は省きます。

 

算出された3億円という建物の値段に土地の評価額、仮に1億4千3百万円とした場合、この1億4千3百万円をプラスした4億4千3百万円が評価額となります。仮に売却目的での概算金額算出であれば、4億4千3百万円が売却見込額となります。

 

もちろん実際の売却時にはこの通りの金額で売れることはありません。不動産の売却は水物で、全ては買い手次第です。立地が良く引く手数多の不動産で、競争によって値段が釣り上がることもあれば、過疎地にあり買い手が見つからず値段が下がる不動産もあります。そのため、取引事例や市況なども勘案して値段設定していくことになりますが、そこまでいくと鑑定士や不動産屋といったプロの領分です。インハウスの担当者がやると「なんとなく田舎で人気が無さそうだから0.8掛けしました」といった感覚になってしまいます。経営層へ出す数値として、なんとなく感覚で…なんてものは出せませんので、根拠がある4億4千3百万円の提示で留めておくのが良いでしょう。その際は「不動産は水物で買い手次第なので、この金額はあくまでも概算金額です」という一言を忘れないようにしないと、後から自分に火の粉が降りかかってきますので、気を付けましょう。

 

 

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