先日、一級建築士の勉強で使用する建築関係法令集を購入した。
購入した法令集を眺めていて、ふと思ったのが、「ファシリティマネジメントの仕事をしていく上で関係してくる法律は何だろう…?」と言うこと。
実は「総解説ファシリティマネジメント/FM推進連絡協議会」の巻末にヒントが載っている。
巻末にFMに関連する法令として、建物建設をはじめとするプロジェクトの管理および運営維持を行ううえで必要な施設関連の施設関連の法規、ならびに地球環境保全に関する法令について書かれている。
ここで「総解説ファシリティマネジメント」に書かれているFM関連法令を紹介したいと思う。
【CONTENTS】
「総解説ファシリティマネジメント」に記載されているFM関連法令
【基本的な法令】
- 都市計画法
- 建築基準法
- 消防法
【特定の用途の建築物に関する法令】
- 学校教育法
- 学校保健法
- 医療法
- 児童福祉法
- 駐車場法
- 工場立地法
- 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)
【建物の環境衛生に関する法令】
- 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)
- 労働安全衛生法(事務所衛生基準規則)
【営業許可に関する法令】
- 旅館業法
- 興行場法
- 公衆浴場法
- 風営適正化法
【地球環境保全に関する法令】
- 環境基本法
- 循環型社会形成推進基本法
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
- 資源の有効な利用の促進に関する法律(リサイクル法)
- 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)
- エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)
- 都市緑地法
【不動産に関する法令】
- 不動産登記法
- 宅地建物取引業法
- 借地借家法
【その他】
- 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)
以上が、「総解説 ファシリティマネジメント」の巻末に参考資料として書かれている法令一覧となる。なかなか壮観だが、こうして改めて見てみると、色々とツッコミどころもある。
「総解説ファシリティマネジメント」に記載されているFM関連法令に対する私見
本来であれば建築基準法施行令 第9条に規定されている建築基準関連規定というのが16法令ある。この16法令は建築基準法に関係規定として定義されているので、FMに関連する基本的な法令として建築基準法を掲げている以上、建築基準法に規定されている16法令はカバーすべき法令だろう。
しかしながら、その内の一部しか「総解説ファシリティマネジメント」には記載されていない。具体的には下記13法令が抜けている。
- 屋外広告物法
- 港湾法
- 高圧ガス保安法
- ガス事業法
- 水道法
- 下水道法
- 宅地造成規制法
- 流通業務市街地の整備に関する法律
- 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律
- 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法
- 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律
- 浄化槽法
- 特定都市河川浸水被害対策法
また、それ以外にも【特定の用途の建築物に関する法令】では、管理する施設が営業倉庫や商業施設であった場合に関係してくるであろう下記法令などもある。
- 倉庫業法
- 大店立地法
さらに、どの施設にも必ず必要な電気設備に関する法令も抜けている。
- 電気事業法
その他、建築基準法第9条では規定されていないものの建築に関連する法令として下記の法令などもある。
- 建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)
- 景観法
【地球環境保全に関する法令】としては下記の法令も外せない。
- 土壌汚染対策法
- フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)
こうして見ると、施設関連の法規は膨大な量になるな。とは言え、ここに書かれている法令全てを押さえておく必要があるかと言うと、そういうわけでもない。
ファシリティマネジャーとして押さえておくべき法令
ファシリティマネジャーと一口にいっても所属する組織によって、業種や組織内での立ち位置は人それぞれなので、自分の所属する業種、立場から判断すれば良いだろう。
私自身で考えてみると、製造業でインハウスのファシリティマネジャーをしている。所管業務は建築関係と不動産関係の業務になる。その場合、押さえておくべき主な法令は下記の通りとなる。
- 建築基準法(建築基準法施行令 第9条に規定される16法令含む)…都市計画法や消防法はこの16法令内に含まれている。
- 工場立地法…工場施設を持っている場合、これは外せない。
- 電気事業法
- 労働安全衛生法(事務所衛生基準規則)
- 不動産登記法
- 土壌汚染対策法
- フロン排出抑制法
といった感じだろうか。もしかしたら他にもあるかも知れないが、パッと思いつくのはこれくらいだ。建築・不動産を管理する業務をしていても所属している組織は製造業なので、建設業法、建築士法、宅建業法などは除外して良いと思う。もちろん全く関係ないわけではなく、法改正などのアンテナは張っておく必要があるが、常に押さえておくべき法令とは違う。
私の場合、社内に環境関係を見る部署が別であるので、環境基本法や廃棄物処理法なども管轄外となる。ただし土壌汚染対策法だけは一定規模以上の土地改変の工事が発生すると絡んでくるので、カバーしておく必要がある。
ファシリティマネジメントを生業とする方はこれを機会に自分が押さえておくべき法令は何かを改めて整理してみては如何だろうか。
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