今回は一級建築士 学科試験の科目II「環境・設備」の環境分野から温熱環境指標について書いていきたい。
【CONTENTS】
はじめに
まず最初に、室内の温熱に関する快適性を確保するための6つの要素というものがあり、外部環境側の要素として「気温」「放射温度」「湿度」「気流速度」の4つと、人体側の要素として「代謝量」「着衣量」の2つがある。これらの6つのうち全て、またはいくつかを組み合わせた温熱環境指標として色々な指標があり、それがややこしくて私の頭を悩ませている。
さて、それでは主な温熱環境指標についてザクッとまとめていきたい。
PMV
予測平均温冷感申告(Predicted Mean Vote)の略。温熱感覚に関する6つの要素である気温、放射温度、相対湿度、気流速度、人体の代謝量及び着衣量を考慮した熱的中立に近い状態においての温熱環境指標となる。
熱量の科学式と生理学実験から導かれ、ISOに登録されています。評価指数は、-3(非常に寒い)から+3(非常に暑い)で、-0.5から+0.5の範囲が快適とされている。
PPD
PMVにおける予測不満足者率(Predicted Percentage of Dissatisfied)の略。在室している環境が快適でないと答えると予測される割合となる。どのような環境においても、5%の不満足者がいると言われている。
ET*
新有効温度(new Effective Temperature)の略。気温、湿度、気流の組み合わせで快適さを表す指標であるETに対し、湿度50%を基準とし、気温、湿度、気流、放射熱、人体の代謝量(met)、着衣量(clo)の6つの要素により総合的に評価した室温がET*となる。
ちなみに…
米印みたいな「*」はスターと読む。なので、ET*はイーティースターとなる。
SET*
標準新有効温度(Standard new Effective Temperature)の略。ET*を標準化した指標で、相対湿度50%で気温、気流、代謝量、着衣量などの条件を想定し、同じ熱交換をして温熱感覚も同じ状態での温度となる。SET*は、22.2〜25.6度を「快適・許容できる」温冷感の範囲としている。
OT
作用温度(Operative Temperature)の略。人体周辺の放射熱源と気温、気流が人体に与える影響を評価するもので、発汗の影響が小さい環境における指標となる。気温と平均放射温度の重みづけの平均で、静穏な気流の下では、グローブ温度とほぼ一致する。
MRT
平均放射温度(Mean Radiant Temperature)の略。周囲の全方向から受ける熱放射を平均化した温度指標となる。OTの計算上必要になり、グローブ温度、気温、気流速度で計算される。
だいたいこんな感じかな…整理すると下表になる。
※TK Office 1級建築士 受験対策 過去問アプリより引用
まとめ
温熱環境6要素の組み合わせではあるが、こうして表で見てみると、人体側の要素である代謝量と着衣量を考慮する総合温熱環境指標は新有効温度ET*と標準新有効温度SET*、それに予測平均温冷感申PMVだけとなる。
そして、有効温度ETは気温、湿度、気流の3要素から求め放射温度は考慮せず、作用温度OTは気温、気流、放射温度から求め湿度は考慮しない、だね!
こうしたポイントをしっかり押さえておけば、何とかなりそうだ。
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