一級建築士 学科試験の科目Iである「計画」は比較的取り組みやすい科目なので、科目Ⅲ「法規」や科目Ⅳ「構造」に比べて苦手と言う人は少ないかと思う。
しかし、そんな計画科目の中にも難関問題がある。それは事例に関する問題だ。しかも直近の令和2年の試験で言えば、計画科目は全20問なのに対し、事例に関する問題は6問も出題されている。実に3割が事例に関する問題なのだ。これが1問程度しか出題されないのなら、潔く捨てた方が効率的ではあるが、さすがに6問前後も出題されるとなると捨て問にするわけにはいかない。
参考までに、令和2年の試験で出題された事例は下記の通りとなる。
- 東三条殿
- 鹿苑寺金閣
- 光浄院客殿
- 旧開智学校校舎
- 大英博物館
- タッセル邸
- ウィーン郵便貯金局
- シュレーダー邸
- 青森県黒石市のまちづくり
- 静岡県掛川市のまちづくり
- 岡山県倉敷市のまちづくり
- 鹿児島県南九州市の知覧のまちづくり
- 同潤会江戸川アパート
- コモンシティ星田A2
- 幕張ベイタウンパティオス4番街
- 釜石・平田地区仮設住宅団地
- ジョンソン・ワックス・ビル
- フォード財団ビル
- 丸の内ビルディング
- ROKI Global Innovation Center
- 金沢市立玉川図書館
- 朝霞市立図書館本館
- 苅田町立図書館本館
- 岐阜メディアコスモス
以上、6問×4択=24問が出題された。
見ただけで吐きそうだ。最悪ですよ、この事例問題は… ジャンルとしては個人住宅、集合住宅、公共建築、歴史的建築などが、和洋問わず出題され、さらに都市計画の事例なども加わり膨大な事例を暗記する必要が出てくる。
勉強法に関しては、事例ごとの作品名、設計者、作品の特徴をひたすら覚えていくしかない。とは言え字面だけを覚えようとしてもなかなか頭に入ってこないので、私はスタディングのWEBテキストをマイノート機能でコピペして、そこにネット検索して見つけた写真を貼り付けることで、現物のイメージとテキストを関連付けて覚えるようにしている。
上の画像が、そのマイノートの一部抜粋となるが、全部で50ページ、106事例のテキストと写真を揃えた。まだまだ足りないので、この先、少しずつ増やしていきながら根気よく覚えていきたいと考えている。
せっかくなので、私がなかなか覚えられない事例を下記にいくつか抜き出してみる。
【CONTENTS】
個人住宅
クルチェット邸(ル・コルビュジェ)
アルゼンチンにある不整形敷地に建つ地上4階建ての医院併用住宅であり、台形の平面をもつ医院と矩形の平面をもつ住居は、中庭のスロープによって繋がれている。
(画像はブエノスアイレス近郊にある南米唯一のル・コルビュジエによる建築作品「クルチェット邸」を訪ねる。 | oh! my ブログからの転載です)
フィッシャー邸(ルイス・カーン)
二つの矩形のボリュームが45度の角度をもって接合され、一方には2層の個室群が配置され、もう一方には2層分の高さの居間をもつ、幾何学的な構成の住宅である。
集合住宅
岐阜県営住宅ハイタウン北方-南ブロック
昭和40年代に建設された公営住宅の建替えに当たって、21世紀に向けた居住様式を提案することを目標として設計された集合住宅団地である。
(画像は【岐阜】 おしゃれすぎる集合住宅 ハイタウン北方 : BQ ~B-spot Explorer~ Powered by ライブドアブログからの転載です)
熊本県営竜蛇平団地(熊本市)
中庭や共用部に面して住戸ごとの土間やテラス等を設け、居住者同士が互いの生活を感じながら居住することができるように計画されている。
(画像は熊本県営竜蛇平団地 : 一級建築士 学科合格に向けてのまとめからの転載です)
熊本県営保田窪第一団地
三つの住棟、集会室及び中央広場で構成され、中央広場については、住戸又は集会室を介してアクセスする居住者専用のものである。
(画像は保田窪県営第一団地 | KAPis | くまもとアートポリス情報配信サイトKAPis | くまもとアートポリス情報配信サイト|くまもとアートポリスの情報を配信しています。からの転載です)
この熊本県営竜蛇平団地と熊本県営保田窪第一団地は、どちらも熊本県内の団地のため、ごっちゃになりがちだ。
茨城県営六番池アパート(茨城県水戸市)
七つの住棟により囲まれた二つの中庭をもち、屋根葺材には地元で焼かれた瓦を使用する等、周辺との融和に配慮された地上3階建ての低層集合住宅である。
コモンシティ星田A2(大阪府交野市)
敷地内の緩斜面を活かした緑道の配置や、塀・門を極力設けない外構計画等により、連続した開放的な外部空間を創り出した戸建ての住宅団地である。
歴史的建築
笑意軒(京都市)
17世紀に桂離宮の敷地南端に造立された、茅葺寄棟屋根や深い土庇等の農家風の外観をもつ格式にこだわらない自由な造形の茶室である。
(画像は桂離宮 七つのキリシタン灯籠を捜し求めて 蹲踞「浮月」 笑意軒からの転載です)
孤篷庵忘笙(京都市)
17世紀に小堀遠州によって造立された、縁先にわたした中敷居の上の障子とその下の開口が特徴的な書院風茶室である。
(画像は孤篷庵 - Wikipediaからの転載です)
茶室建築は他にも妙喜庵待庵などがあるが、違いがよく分からない。泣
ヴォルムス大聖堂(ドイツ)
東西両端にアプスを対置させた二重内陣と身廊の両側に側廊を設けたバシリカ形式で構成され、東西の内陣と交差部とに六つの塔をもつロマネスク様式の建築物である。
(画像は『ロマネスク様式の大聖堂がある宗教都市ヴォルムス』ヴォルムス(ドイツ)の旅行記・ブログ by piachanさん【フォートラベル】からの転載です)
フィレンツェ大聖堂(イタリア)
世界最大級の石積ドームをもち、外装はピンクや緑の大理石により幾何学模様で装飾され、クーポラとランターンは初期ルネサンス様式、ファサードはネオ・ゴシック様式の建築物である。
(画像は絶対見たい絶景!ドゥオーモ「クーポラ」と「ジョットの鐘楼」イタリア・フィレンツェ | イタリア | トラベルjp 旅行ガイドからの転載です)
ヨーロッパの大聖堂系はたくさんの事例があり、ゴシック様式、ネオゴシック様式、ロマネスク様式、ルネサンス様式等の建築様式の違いがよく分からず、どの建物が何の様式なのか、なかなか頭に入らない。。泣
保存・再生
長浜市(滋賀県)
明治時代に建築された黒漆喰仕上げの建築物を保存・改装し、この建築物を核とした街並み「黒壁スクエア」を中心にして観光振興によるまちづくりを行っている。
(画像は黒壁スクエア | 長浜城のガイド | 攻城団からの転載です)
小布施町(長野県)
伝統的な土蔵、門、塀などの仕上げや形態をできる限り保存し、歴史的な町並みの個性を継承するとともに、空地を集めて「風の広場」とよぶ公共スペースつくっている。
などなど、覚えた事例より、なかなか覚えられない苦手な事例の方がはるかに多い。
また、事例問題は頑張って暗記しても、過去問で一度も出たことがない新問の事例が出題されると完全にお手上げ状態となる。新問が正しいか間違えているかは判断付かないので、残りの三択の中で判断し、答えが導き出されるよう努力するしかない。キッツイわあ。゚(゚´Д`゚)゚。
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