前々回の「容積率」の計算についての記事で書いた通り、今回は「建ぺい率」の計算について書いていきたい。
【CONTENTS】
出題例(H26-法規No.16)
今回はH26-法規No.16の問題を元に解説していく。
尚、建ぺい率の計算問題は、容積率と同じように概要図付きで出題される。
上の概要図の問題文と選択肢は下記の通り。
問題文
図のような敷地において、耐火建築物を新築する場合、建築基準法上、建築することができる建築面積の最大のものは、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定等はないものとする。
選択肢
1. 580m2
2. 610m2
3. 640m2
4. 672m2
正解は3番の640m2になる。
それでは、実際の解き方ステップを見ていこう。
ステップ1. 建ぺい率の限度(法53条)
まず、都市計画で定める建ぺい率を確認する。これは用途地域が商業地域以外の場合は、概要図に記載されている。商業地域の場合は8/10になる。
H26-法規No.16の問題では、敷地の真ん中あたりから左側が準住居地域になっており、右側が商業地域になっている。そのため、必然的に左側の建ぺい率が概要図に記載されている6/10。右側が商業地域なので8/10になる。
続いて、緩和規定と適用除外規定を確認していく。
まず、緩和規定だが、3パターンある。
①都市計画の建ぺい率が8/10とされている地域外で、防火地域内の耐火建築物 → + 1/10
②特定行政庁が指定する街区の角地 → + 1/10
③上記①及び②に該当 → + 2/10
続いて適用除外を確認する。
都市計画の建ぺい率が8/10とされている地域内で、防火地域内の耐火建築物 → 10/10
となる。実際にH26-法規No.16問題で見ていくと、まず緩和規定だが、問題文の中に耐火建築物とあり、概要図の中に準住居地域で建ぺい率6/10と書かれていることから、緩和①が適用され、+ 1/10。さらに街区の角地であることから緩和②も適用され、+ 1/10。これにより準住居地域の建ぺい率は、6/10+1/10+1/10 = 8/10となる。
さらに、建ぺい率8/10の商業地域内で、かつ防火地域内の耐火建築物のため、適用除外もあてはまり、建ぺい率10/10となる。この10/10というのは、建ぺい率の規定が適用されないということになる。
結果として、建ぺい率の限度は、準住居地域=8/10、商業地域=10/10となる。
ステップ2. 敷地面積の計算
ステップ2以降は簡単だ。
ここで気を付けるポイントは、容積率の時と同じく、幅員の狭い2項道路による道路後退部分を敷地面積から差し引くのを忘れないようにするくらいだ。
H26-法規No.16問題でも2項道路があるので、敷地面積は下記の通りとなる。
準住居地域…(21m-1m)×15m = 300m2
商業地域…(21m-1m)×20m = 400m2
ステップ3. 建築面積の計算
ステップ2で計算した敷地面積にステップ1の建ぺい率をかける。
準住居地域…300m2×8/10 = 240m2
商業地域…400m2×10/10 = 400m2
これを合算すれば建築面積の最大値が出る。240m2+400m2 = 640m2。これが答えとなる。
以上が、建ぺい率の計算問題において、建築面積の最大値の求め方になる。
容積率問題に比べると、簡単ではないだろうか。
ところが…
世間はそんなに甘くない!
H26-法規No.16問題のように単純に建築面積を求める問題ばかりではなく、中には一つの問題で、容積率と建ぺい率それぞれ求める複合問題があったりするのだ。
上の画像はH21-法規No.16の問題になるが、これがまさにそうだ。建築面積の最大値と延べ面積の最大値の組合せを問う問題だった。
これは…面倒くせぇ😭
こういう外れ問題もあるので、容積率、建ぺい率、それぞれバッチリ解けるようになっておく必要がある。
さて、次回は法規の3K(嫌い)問題ラストを飾る「高さ制限」問題について書いていくことにする。📝
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