+αな暮らし

某製造メーカーでインハウスのファシリティマネジャーとして建築・不動産に関する仕事をしています。このブログでは建築・不動産・施設管理系の資格挑戦についてと、革製品を始めとした愛すべきプロダクトについてつらつら書いています。

読書レビュー 森博嗣「Gシリーズ」

森博嗣氏のS&Mシリーズ、Vシリーズ、四季シリーズと続いて、とうとうGシリーズも読み終えた。(ラスト10作目「χ(カイ)の悲劇」除く)

 

【CONTENTS】

 

φは壊れたね PATH CONNECTED φ BROKE

友達のマンションを訪ねた山吹がそこのマンションの一室(おもちゃ箱のように彩られた部屋)で、背中に付け羽を生やした状態で宙吊りにされた死体に遭遇。現場は密室状態、そしてその密室には死体発見までの一部始終を捉えた『φは壊れたね』と銘打たれたビデオテープが残されていた…

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Gシリーズ第一作目

登場人物の中にS&Mシリーズの西之園萌絵と犀川助教授が登場するが、この二人は主役級の扱いではなく、本作品はC大学の学生である加部谷恵美、山吹早月、海月及介らを中心に物語が進む。

現場に残されたビデオテープのタイトルがそのまま本作品のタイトルになっているのだが、いまいち意味がよく分からない。ついでに密室トリックも殺人の動機もパッとしなかった。

どうも森作品は当たり外れがあるな。

 

θは遊んでくれたよ ANOTHER PLAYMATE θ

飛び降り自殺とされた男性死体の額には「θ」と描かれていた。半月後には手のひらに同じマークのある女性の死体が。さらに、その後発見された複数の転落死体に印されていた「θ」のマーク…

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前作「φは壊れたね」からすぐ後の話しとなる。

前作のφ…は物足りなかったが、Gシリーズ全体で大きな一つのストーリーと解釈すれば一作毎の出来栄えは多少目を瞑っても良いかも知れない。

前作に引き続きギリシャ文字が登場し、今回は「θ(シータ)」がキーワードとなる。前回のφ同様、θの意味は良く分からず仕舞いだ。きっとGシリーズ全体の中でだんだん明らかになっていくのだろう。

本作ではS&Mシリーズの西之園萌絵と犀川助教授だけでなく、Vシリーズの懐かしい名前まで出て来た。

 

τになるまで待って PLEASE STAY UNTIL τ

超能力者「神居静哉」の別荘であるこの洋館を、Gシリーズのレギュラーメンバーである3学生「加部谷恵美」「山吹早月」「海月及介」を含む7名の人物が訪れることから始まります。雷鳴轟く館に閉じ込められ、電話もつながらない、そして晩餐の後に起きる密室殺人…

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森博嗣氏の作品ではすっかり定番となった意味不明のタイトル。今回のギリシャ文字は「τ(タウ)」となっている。

本作は、森林の中に佇立する“伽羅離館”という館で起きる密室殺人事件となる。珍しく王道とも言えるシチュエーションだが、内容は捻くれている。なんと今回の殺人事件、犯人が分からないまま終わっている。ミステリー小説としては前代未聞だろう。

気になるタイトルの『τになるまで待って』と言うのも、ただ単に作中に出てくるラジオ番組のタイトルだったりする。まあ、きっと次作以降でだんだんタイトルの意味や今回の犯人も露わになってくるのだろうが、ハッキリ言って本作だけ読むと非常に消化不良な内容だ。唯一の救いはS&Mシリーズの犀川先生が密室トリックを見破る活躍をしたことだな。

 

εに誓って SWEARING ON SOLEMN ε

山吹早月と加部谷恵美が乗車していた東京発中部国際空港行きの高速バスがジャックされた。犯人グループは、都市部に爆弾を仕掛けたという声明を出していた。乗客名簿には≪ε(イプシロン)に誓って≫という名前の謎の団体客が。≪Φ(ファイ)は壊れたね≫から続く不可思議な事件の連鎖を解く鍵を西之園萌絵らは見出すことができるのか?

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ジャックされたバスが舞台という珍しいストーリーだが、そこは森先生、今回も意外な結末(トリック)が待ち構えていた。
しかし、面白かったかと言われると、単品の作品として見るとそれほど面白くはなかった。

このGシリーズは、今までのS&MシリーズやVシリーズと比べて、単品毎の完成度が低い気がする。逆を言えばシリーズ全体で見る必要がある作品なのだろう。

 

λに歯がない λ HAS NO TEETH

完全に施錠されていたT研究所で、四人の銃殺死体が発見された。いずれも近距離から撃たれており、全員のポケットに「λに歯がない」と書かれたカードが入っていた。

また四人とも、死後、強制的に歯を抜かれていた。謎だらけの事件に迫る過程で、西之園萌絵は欠け落ちていた過去の大切な記憶を取り戻す…

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何と言う無茶苦茶なタイトル。とてもミステリー小説とは思えない。森博嗣作品を知らずに初見でこの本を見つけても絶対に買わないタイトルだ。「λに歯がない」の意味は、ずばり死体のポケットに「λに歯がない」と書かれた紙が入っていたから。

殺人事件の犯人が誰なのかよく分からないまま終わることが往々にしてあるこのGシリーズだが、今回はちゃんと犯人が判明した。さらに密室トリックもちょっとだけ面白かった。実際にこんなトリックが可能なのか、また可能だとしてもすぐバレてしまうのではないか、というのはあるが着眼点が面白い。

 

ηなのに夢のよう Dreamily in spite of η

通常では考えられない、地上12メートルの松の枝で発見された自殺死体。現場近くの神社では『ηなのに夢のよう』と書かれた絵馬が発見された。その後も奇妙な場所での首吊り自殺が立て続けに発生していく中、西之園は反町愛の恋人である金子から両親の飛行機事故の真相を知らされる…

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Gシリーズも第6弾まで来た。今回は殺人事件モノと言うより自殺事件モノとなる。

このGシリーズ、当初の作品では山吹、海月、加部谷といった学生たち中心のストーリーだったが、シリーズが進むにつれ西之園萌絵や犀川創平といったS&Mシリーズのメインキャストの出番が増えていっている。さらにそこにVシリーズの面々も登場して…もう訳わからない混沌とした内容になっている。

もし、仮に森博嗣作品を読むのが初めてのビギナー読者が本作品を読んだ場合、間違いなく意味不明の駄作作品の烙印を押されてしまうことだろう。このGシリーズは1作ごとに完結する内容ではなく、シリーズを通して物語を読み進めていく必要があるので、そういった意味では森博嗣作品との付き合いの長いヘビーユーザーでないと理解することが出来ない作品と言える。

 

目薬αで殺菌します Disinfectant α for the eyes

神戸で劇物の入った目薬が発見された。目薬の名には「α」の文字が入っていた。その頃、那古野では加部谷恵美が変死体を発見する。死体が握り締めていたのは、やはり目薬「α」。探偵・赤柳初朗は調査を始めるが、事件の背後にはまたも謎の組織の影が…「φ」から続く一連の事件との繋がりは⁉︎

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うーん。森作品って感想が難しいんだよな。この作品、面白いか面白くないかと聞かれれば「面白くない」となってしまいそうな気がする。だけど、Gシリーズ全体で一つの大きなストーリーとすると、きっと外せない話しなんだろうなあ、と思ったりもする。

西之園萌絵と犀川助教授は登場するが、今回はお情け程度の登場となっている。本作の中心は加部谷恵美と海月祐介、そして探偵の赤柳となる。加部谷恵美が海月祐介に告白するという事件とは関係ないとこで本作は盛り上がった。 それにしてもやはり最初のS&Mシリーズから比べるとGシリーズは一作一作が物足りない。

 

ジグβ(ベータ)は神ですか Jig β Knows Heaven

大学を卒業しそれぞれの道を進んでいた加部谷たちは、夏休みを使い芸術家たちが集う、三重県にある宗教施設〈美之里〉で、ある探偵と再会を果たす。探偵は『β』と名乗る教祖の調査中だったところ、全裸で棺に入れられラッピングされた変死体を発見。そして加部谷たちは芸術家が作った「人形」を発見する。その人形と真賀田四季の関係性とは一体なんなのか。

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今までGシリーズの主要キャストたちは大学生だったが、本作では既に大学を卒業して社会人になっている(一人まだ大学生がいるが…)

そんな社会人の面々(いつものGシリーズのメンバー)が夏期休暇を利用して遊びにきた美乃里という芸術家村でラッピングされた死体に遭遇するという流れが本作のストーリーだ。

Gシリーズで毎回出てきた名脇役である探偵の変わり果てた?姿には驚いた。森先生ならではの仕掛けと言える。

そして、いよいよGシリーズ(と言うか森ミステリー全ての)キーマンである真賀田四季の影もちらほら登場してきた。

殺人事件の犯人と動機には納得いかない人もいるかも知れないが、この8作目は個人的にはまあまあ面白い方だったと思う。

森博嗣氏のシリーズは何と言ってもキャストたちが作品と共に成長していくのが良い。某漫画(金◯一少年やコ◯ンなど)のように時間が進まないのに事件だけどんどん起きるのとは違う。

いよいよGシリーズも残すところあと2作となった。

 

キウイγ(ガンマ)は時計仕掛け Kiwi γ in clockwork

建築学会が開催される大学に届いた奇妙な宅配便。中には、γと刻まれたキウイにプルトップが差し込まれたものがたったひとつ、入っていた。

そして、荷物が届いた日の夜、学長が射殺された。学会のため当地を訪れていた犀川創平は、キウイに刻まれたギリシャ文字を知り、公安の沓掛に連絡する。

取材にきていた雨宮純、発表のため参加の加部谷恵美、山咲早月。ほか、海月及介、国枝桃子、西之園萌絵らも集う邂逅の一冊…

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読んでみた感想を一言で述べると「うむ。ツマラン」だ。Gシリーズは全体的に過去のシリーズと比べると物足りないのだが、その中でも本作は一二を争うつまらなさだった。

 

さて、Gシリーズもいよいよ10作目の「χ(カイ)の悲劇」が最後となるが、実はこの10作目が未だに講談社文庫版になっていない。文庫版になったら読もうとしているので、それまでおあずけとなる。内容忘れそうだ。

そのため、いったん9作目までを記事にすることにした。

 

それにしても、森作品は初めのS&Mシリーズが一番面白かったな。Vシリーズ、Gシリーズとシリーズを重ねるごとにつまらなくなっているので、そろそろ森作品から卒業するかも知れない。