+αな暮らし

自分の仕事に関係する建築・不動産・施設管理系の資格挑戦記。その他、革靴を中心とした自分の生活に+αな彩りを添えてくれるお気に入りアイテムについて綴っています。

【読書】森博嗣氏のS&Mシリーズを読んでの感想

どーもESTです。

今まであまり気にしていなかったミステリー作家、森博嗣氏の小説「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」を読んでみて、一気に森ワールドの虜になってしまいました。

そして「すべてがFになる」を始めとしたS&Mシリーズ全10作を読破したので、記録に残しておきます。

 

【CONTENTS】

 

すべてがFになる THE PERFECT INSIDER

Synopsis

犀川研究室の旅行で、愛知県にある妃真加島に向かった犀川創平(さいかわそうへい)と研究室の面々。犀川の恩師の娘である西之園萌絵(にしのぞのもえ)も研究室の正式なメンバーではないが参加していた。

妃真加島にはその所有者である真賀田家が設立した真賀田研究所があり、実は萌絵は研究所と多少の関わりがあったのだ。

真賀田研究所には優秀な研究者が集い、彼らなりの論理・生活形態とそれを許容する環境の下で精力的に研究を進めている。その頂点に君臨するのが、真賀田四季(まがたしき)博士。彼女は最高の天才で、名実ともに研究所の活動の中心人物であった。そして彼女は過去犯した殺人によっても有名人物であり、研究所の一画に隔離されている存在でもあった。

萌絵の提案で研究所を訪れた犀川と萌絵の前に、不可思議な死体が姿を現す。更に続いて起こる殺人事件。2人は研究所で起きた事件の謎にとらわれていく…

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森博嗣氏の小説は本作品で初めて読みましたが面白かったです。読んでいてコンピューター関連の描写について、何を今更と感じる部分がありましたが、この作品が出版されたのはもう20年近くも前になるのですね。

ジャンルはミステリーで連続殺人事件物です。1人目の被害者が発見されたシーンはなんともインパクトがありました。2人目以降はおまけみたいな感じです。ミステリーに意外性やどんでん返しはつきものですが、本作品も意外な人物が犯人でした。

この「すべてがFになる」がS&Mシリーズ(犀川&萌絵)の1作目のようですので、残りの作品(S&Mシリーズは全10作品)も少しづつ読んでいきます。

 

 

冷たい密室と博士たち Doctors in Isolated Room

Synopsis
同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女2名の大学院生が死体となって発見された。

被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか⁈

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うーん…。前作の「すべてがFになる」と比べてしまうと見劣りするなあ。死体が発見される状況、密室のトリック、いずれもインパクトに欠けます。ついでと言っては何ですが、犯人のキャラも弱い。どれか一つでも突出した部分があればまた違った感想になるかも知れませんが…残念ながらそこまでのインパクトはありませんでした。
だからと言って、つまらないと言う訳ではありません。一定以上のレベルに達しているミステリー小説だと思います。ただ、前作が良すぎたため読む前から期待値が高過ぎたのだと思います。

さて、三作目の「笑わない数学者」も既に買ってありますので、通勤電車の中でチビチビと読んでいきたいと思います。

 

 

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE

Synopsis
偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、二つの死体が発見され…

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犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビによる殺人ミステリーの第3弾。今回の作品は面白かったです。

上記の粗筋にも書いてありますが、物語序盤に、本作のキーポイントとも言うべき、館の庭にある10tの大きなオリオン像を庭から消すトリックが出てきます。このトリックのタネは「もしやアレでは…」と読み始めてすぐ思い付きました。解答は最後に出てきますが、見事に正解。だけど登場人物は誰一人気付かないなんて実際にはありえんだろう…と思います。これは、本作の内容がオリオン像のトリックが解ければ、殺人事件の犯人に結び付くヒントにもなるため、あえて登場人物には気付かせないようにしたのでしょう。

ところで、各章毎にタイトルが付いていて、さらにカッコ書きで変な副題的なものがありますが、それの意味がよく分かりません。例えば「第1章 三ツ星館の謎(はたして、これらは妥当な観察点からのもので、しかも連続した存在なのでしょうか?)」…このカッコ内の文言の意味が分からない。私の頭が悪いだけなのか。うーむ。

 

 

詩的私的ジャック JACK THE POETICAL PRIVATE

Synopsis
大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。
捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。

N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する。

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今回は犀川助教授と西之園萌絵が通うN大学が舞台の殺人事件です。1作目と3作目は大学外が舞台で、2作目と今回読んだ4作目は大学が舞台でした。物語の舞台を大学と大学外で交互にするのは偶然なのかな…個人的には大学外が舞台の方が面白く感じます。

さて、今回の「詩的私的ジャック」は殺された人数は多いですが、いまいち動機に無理がある気がします。作中、犀川助教授の解説でも「動機なんて、本当のところ僕は聞きたくもないし、聞いても理解できないでしょう。それに、本人だって説明できるかどうか…」と述べていますが、やはりミステリー小説である以上、動機は重要だと思います。

話はかわり、犀川助教授と西之園萌絵の関係がほんの少しずつではありますが、進んでいっているのが物語にちょっとした華を添えています。

 

 

封印再度 WHO INSIDE

Synopsis
50年前、日本画家・香山風采は息子・林水に家宝「天地の瓢(こひょう)」と「無我の匣」を残して密室の中で謎の死をとげた。

不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在にいたるまで誰にも解かれていない。そして今度は、林水が死体となって発見された。2つの死と家宝の謎に犀川・西之園コンビが迫る。

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本作は文庫版で500頁を超える大作です。50年前に起きた事件と同じ状況で起きた事件を巡るストーリーで、キーポイントとして「天地の瓢」と「無我の匣」という、壺の中に入っていて取り出すことのできない鍵と、その鍵でなければ開けることのできない箱が登場します。

普通の殺人事件物と比べると異色の作品に感じますが、決してつまらない訳ではなく、むしろ今まで読んだS&Mシリーズの中でも面白い部類に入ると感じました。

犀川助教授と西之園萌絵の関係も一気に進展です。このシリーズは一巻毎に完結しますが、通しで出る登場人物の関係性にも変化が現れてくるので面白いです。

 

 

幻惑の死と使途 ILLUSION ACTS LIKE MAGIC

Synopsis
「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」…いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か…

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今までは密室殺人が多かったですが、今回は密室モノではなく、衆人環視の中という不可能な状況での殺人劇です。上手いことマジックを題材にしたミステリーに仕上がっており、斬新な内容だとは思うのですが、何故だか物足りなさも感じました。しかしラストの犀川助教授の説明は、さすがは森博嗣氏、一捻り加えてあります。

 

 

夏のレプリカ Replaceable Summer

Synopsis
T大学大学院生の簑沢杜萌(みのさわともえ)は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった…。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは⁈

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前作「幻惑の死と使徒」と同時期に起きた殺人事件という設定の物語です。そのため、本作は偶数章のみで構成されています(前作「幻惑の死と使徒」は逆に奇数章のみで構成されていました)。

時系列で表すと交互に物語は進むのですが、全く別物の事件であるため、それぞれ独立した物語とした体を成しています。

さて、7作目にあたる本作品も前作同様、密室モノではありません。意外な人が犯人で確かに驚きましたが、それほど面白くはありませんでした。眠いなかバッと読破したためかあまり物語に入り込めぬまま読み終えてしまった感じです。そして、ラストに登場した人物と萌絵とのくだりも意味が分からない。うーん、なんとも消化不良な感じです。

 

 

今はもうない SWITCH BACK

Synopsis
岐阜県昼ヶ野高原山奥にある別荘で見つかった変死体。死んでいたのは招待客のうちの2人姉妹で、片方には殺された跡があるにもかかわらず死体は密室の中にあった。

そのとき別荘に滞在していたのは別荘の主人、橋爪家親子と使用人、招待客数人であり、物語の語り手である「笹木」と、偶然客となった「西之園家のお嬢様」もいた。笹木と西之園は協力して事件の謎に挑み、推理を働かせるが決定的な解決は見つからない。一方で状況が進むにつれて笹木は西之園に魅かれていき、ついには結婚を賭けたゲームを申し出る。

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嵐に閉ざされた山奥の別荘が舞台であり、森博嗣氏のミステリー作品としてはオーソドックスな舞台設定といえます。

物語は、登場人物の一人である「笹木」というおっさんが語り手となり進みます。語り手がいることや、舞台設定なども従来のS&Mシリーズとは一線を画しています。

しかし、舞台設定はオーソドックスと書きましたが、それはあくまでも殺人事件の現場が、という意味で、物語自体は非常にヘテロドックスな作品です。読み終えたときのやられた感はさすが森博嗣氏とでも言うべきものですが、純粋にS&Mシリーズと言えるのかは少し疑問な作品です。

 

 

数奇にして模型 NUMERICAL MODELS

Synopsis
模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった…。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。

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S&Mシリーズ9作目にして、なんとページ数700頁の大作です。上下巻に分けてもいい厚さですね。

今回はフィギュアや模型といった、いわゆるオタク系の人達を中心に物語が進みます。もし、現実社会でこんな事件が起きたら、オタクたちが猛烈に社会から攻撃され、より肩身が狭くなるのは間違いありません。

そして、本作も意外な人物が犯人でした。それにしても、よくも毎回こんな意外性のある結末が考えられるなあ…と驚いてしまいます。

森博嗣氏の作品に登場する殺人犯の動機は、復讐・嫉妬・怒りといったありがちな理由ではないのですが、それが森博嗣作品の面白さの一つなんでしょうね。

いよいよ読んでいないS&Mシリーズも残り一作となりました。なんだか寂しい気もします。果たして犀川・西之園の関係は進展するのか⁉︎

 

 

有限と微小のパン THE PERFECT OUTSIDER

Synopsis
日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。パークでは過去に「シードラゴンの事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。核心に存在する偉大な知性の正体は…

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本作は、S&Mシリーズ最終作で800頁を超える長編ミステリーです。殺される人の数も多いです。しかも一人一人がどうやって殺害されたのか謎に満ちています…が、結果的に反則的などんでん返しが待っていました。正直、拍子抜けです。

また、本作には1作目の「すべてがFになる」の最重要人物である真賀田四季博士が再登場します。真賀田四季に始まり真賀田四季に終わる。これにてS&Mシリーズ終了ですが、犀川助教授と西之園萌絵の関係も別段進展する訳でもなく…ちょっと物足りないシリーズ最終作だったなあと感じました。

 

これにてS&Mシリーズ完結になりますが、森博嗣氏の作品は他にもVシリーズやGシリーズなど、色々ありますので、引き続き、楽しく読んでいきたいと思います。